流れる雲のように・・・
 
エジプト、トルコ、その他海外、旅の思い出・・・
 



2004年9月25日を表示

エジプト最後のいい人

スーフィーダンスが終わり、シタデルの演舞場から門まで歩く。
城塞やモスクがライトアップされていて、綺麗だった。
門の前では観光客を待つタクシーが並んでいた。
「タクシー?タクシー?」
盛んに声を掛けてくる。
正直ホテル前や、観光地前で待機しているタクシーには乗りたくない。
ボッタクリ価格が当たり前になっているからだ。
大きな通りまででて、流しのタクシーを捕まえようと思ったが、こちらの値段でOKというドライバーがいたので、そのタクシーに乗り込んだ。
「へぇ~、最後にいいタクシーに巡り合ったなぁ~・・・」
俺の目的地まで約5キロくらいだろうか、5LEでいいというのだ。
ところがどっこい、その思いは3分後にはひっくり返される事になる。
車内で60LEを要求してきたのだ!
「ふざけんじゃねーぞ!」日本語で怒鳴り、座席を蹴り上げる。
動いているタクシーのドアを開け、交差点で飛び降りた。
動いているバスに乗ったり降りたりすることは、エジプトでは当たり前だが、動いているタクシーから飛び降りるのは俺くらいだろう。当然お金も払わなかったが、ドライバーもまだ観光客が残っているであろうシタデルへ向けて、急いで走り去ってしまった。
やはり観光客相手のタクシーは信用ならん!

流しのタクシーを捕まえる事にした。
経験から、若者のタクシーを捕まえる事にした。
中には10代くらいの若い運転手もいるのだ。
そしてあまりボッタくってこないのだ。こちらの機嫌を伺う事が多い。
一番最初に声を掛けたタクシーは、
「サードザグルールまでいくら?」と聞くと、
「3LE」と答えた。
「えっ、エジプシャンプライスじゃん!」
早速その若者のタクシーに乗る事にした。
エジプト人らしからぬ色の白さだった。俺の方が黒い。ヨーローパ人らしき風貌のイケメン運転手だった。
途中で2組ほど相乗りをしたが、そのうちの1組が桃を持っていた。
「ホーッホ」(桃)とエジプト語でいうと、その桃を1個俺にくれた。
「シュックラン」(ありがとう)といい、その後ずっと会話帳を見ながら会話をした。
運転手が誠実な人だということ、かっこいいという事、今までタクシーではボッタクリばっかりだった事を話した。

そうこうしているうちに、タクシーはさくらホテル前へ。
エジプトでは一度両替した紙幣を再度日本円にする事は難しい。後数時間後にはエジプトを旅立つ俺。持っていてもしょうがない高額紙幣を運転手に渡す。
残った親子の分も払うよと告げ、
「君は唯一の正直なタクシーの運転手だったから、バクシーシだよ。」
そういって50LE札を渡す。細かいお金を持っていなかったのも事実だが、エジプト紙幣を持っていても空港で両替も買い物も出来ないのだ。
最後にエジプト人タクシーにも良心がある事をしって、心和んだのだ。
気持ちよくお金を渡した。若い彼は俺が乗る時3LEと言っておきながら、50LE渡したからびっくりしていた。

最初のタクシーで飛び降りたままだったら、絶対モヤモヤした気分でエジプト出国だったが、このタクシーに乗ったおかげで、今までのタクシーによる苦労が全て吹き飛んだ気持だった。
どうせ使わないし使えないお金なら・・・・・
彼がこれからも観光客に正直である事を願う

ホテルへ戻り、エジプト出国の準備をする・・・・・



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