86億トルコリラ、ボッタクリバー体験! |
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| 声を掛けてきた小柄なトルコ人の中年男性。 見た目気弱な感じだ。 「いい店を知っている、トルコ、ロシア、ウクライナ、ジャパニーズ、」 「4000万トルコリラ(約3200円)」 「ノープロブレム、OK?」 なに・・・・・ 「ジャパニーズ?4000万トルコリラ?」 うなずく男。 その男がとても人を騙すような人間にみえなかったので、 その男についていってしまった。 それが悲劇の始まりだった・・・・・
声を掛けられた場所から、どことなく寂しい場所へ歩いていく。 5分以上歩いただろうか、何となくやばい匂いがした。 男にわからぬように、財布の中から3万円を抜き取り、 スーツの後ろポケットに隠した。
ようやくたどり着いた店はちょっと繁華街から離れた場所。 ドアの外からは大きな音が漏れている。 扉を開けると、派手な衣装を着たウクライナ女性がいた。 日本の場末のキャバクラのようなふいんきだった。 数組の男達が飲んでいた。カウンターで飲んでいる男もいた。 「とりあえず大丈夫そうだ・・・・・」 あの時はそう思った。
男は女を指名しろと誘ってくる。 目の前に座っていたウクライナ人を指名した。 男も隣のウクライナ人を指名した。 会話はほとんど英語だった。 シャンパンを飲みだす女、ビールを飲む男、コーラを飲む俺。 「なぜコーラだって?」 「俺はスポーツマンだから酒は飲まないのさ!」 そういって、右手の拳をみせた。 バイク事故で右手がちょっと変形しているのだが、それを、 「空手で30cmの氷を割った時に、骨折したんだ。」 と、嘘をついた。空手の型まで披露した。 女達が俺の胸を触る。 「ストロング!」女達が盛り立てる。 「オフコース、ベリーストロング!」俺も調子に乗る。 (この冗談が後で役に立つとは・・・・・)
40分位居ただろうか、俺の泊まっているホテルへ行こうという事になった。 (この親父もついて来るのかな・・・ まぁ~初めての4Pもいいか・・・・・) 馬鹿な考えが頭をよぎる・・・・・ 女達が飲んだシャンパンは6本、男が飲んだビールは2本、俺はコーラだけ。 薄暗い店でチェックを頼むと、女達は席を離れていった。 出された金額は、 8600000000トルコリラ! いち、じゅう、ひゃく・・・・ 「あっ~・・・86億トルコリラ!!!」(約70万円) 俺の隣には、初めて俺よりでかい図体をしたトルコ人が座っていた。 (手強いのはこいつだけのようだな・・・・・) 日本でも体験した事のないボッタクリバー。 さて、どう切り抜けるか・・・・・ あの時の俺はいたって冷静で、ビビル事もなく、臆する事もなく、かなり堂々としていた。 とりあえず財布を取り出し、中のお札を全て取り出す。 スーツの前ポケットも全てさらし、お金を隠していない事をアピール。 (後ろポケットは見せなかったが・・・・・) スーツの胸ポケットに入れていたお札も取り出した。全部で1億3千万トルコリラ。 とても86億には届かない。届くわけないし、あるわけない。 財布の中にJCBのカードが入っていたのだが、それをみても何もいわれなかった。 ANA、JALのマイレージカードについて聞かれたが、答えても何の返答もなし。 友達に電話するといって、小柄なトルコ人の携帯を取り上げ、電話を架けるふりをする。 友達なんか居るわけがないが、何度も押しては繋がらないと、ジェスチャーをする。 「ポリス!」といって、警察に電話を架けるふりをする。警察の電話番号さえわからないが、これも架けるまねだけ。 向こうも全然脅してこないし、俺も金がないから払えないとあきらめ顔。 すると、隣の大柄な男が、 「OK、バイバイ。」 そういって、2000万トルコリラを俺に渡す。 もう帰れという事らしい。 店のグルの小柄なトルコ人親父を見る。 ドアを指差し、帰ったほうがいいと合図する。 納得はいかなかったが、店を出る事にする。 俺の席にいた女達の前を通り過ぎる時に、殴りそうな勢いで握手をした。 女達はビビッていた。殴りたい気分だったが・・・・・
こうして何の問題もなく、ボッタクリバーを後にした。 はらわた煮えくり返りそうだったが、考えてみれば1億1千万トルコリラしか払っていない。 (約8800円) 楽しんだ時間、飲んだシャンパンの事を考えれば、激安だったかもしれない。
懲りずにボッタクリバー近くの普通のオープンレストランで腹ごしらえ。 普通の店だが、東欧系の女性も食事をしている。 「いかん、ボッタクリに遭ったばっかりなのに、また煩悩が・・・・・」
ホテルまでは歩いて帰る。深夜2時頃だったかな。 イェニカプを離れると、通りは人通りもなくなる。 俺が歩くと、前を歩いている人が振り返り、足早になって遠ざかる。 「何度目だよ・・・・・」
ボッタクリバーで格安料金! 被害者だったのか、得したのかわからない。 ポケットに隠したお金、空手の嘘、怯まぬ態度、 全てがラッキーだった。 そして、 ボッタクリバーじゃなかったら、あのウクライナ人はよかったなぁ・・・・・ 懲りない馬鹿な男である・・・・・
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10月8日(金) | トラックバック(0) | コメント(0) | TURKEY | 管理
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